作品の結果を『数字』だけで見てはダメ!!

[1年前の西野亮廣エンタメ研究所の記事]

こんにちは、財前です。
今回も、西野亮廣さんが過去にサロン内で公開された記事を載せたいと思います。

オンラインサロン 投稿日2018年12月17日(月)

おはようございます。
よくよく考えてみたら、『コッドタン』や『アメトーーク!』に出させてもらった時は、「やめてくれ!」と「ごめんて!」の二つしか言っていない気がしているキングコング西野です。

昨日の『バーベキュー型エンターテイメント』の記事で、「バーベキュー型には、①『プロ+制作に参加するお客さん』と、②『プロ+制作に参加するお客さん+純度100%のお客さん』の二種類の空間がある」と書いたところ、サロンメンバーさんから「イベントを作る時は、事前に、『今回のイベントが①なのか?②なのか?』を全員で共有しておいた方がいいですね」とコメントがあり、なるほどなるほど。そりゃそうですね。

ちなみに、『サーカス!(世界で一番楽しい学校)』は②です。
さて。。

先日の『ニシノコンサル』の収録で、幻冬舎の箕輪さんと「このまま、釣り堀で釣りをするのか?」という話で盛り上がりました。
もちろん、『釣り堀』というのは喩えです。

僕は、たくさん本を出させてもらっていて、さすがに皆様もお察しかもしれませんが、ぶっちゃけて言うと、「あそこに、あの感じのモノで投げると、10万部ぐらいは売れる」という確かな手応えを感じています。

現在20万部を突破した『バカとつき合うな』(堀江貴文×西野亮廣)が売れることは見えていて、でもそれって、これまで自分達が開拓してきた層が買ってくれているわけで、そこで思うのは「たしかにヒットしたけど、これ…ボク、前に進んでる?」です。

ヒットさせることも超大事だけど…

ヒットを飛ばし続けていないと説得力が無くなるので、作品をヒットさせることはとても大切なのですが、すでに開拓した層に買ってもらう作品は、悪く言ってしまえば『ファングッズ』で、ファングッズのヒットは「前進」とは呼べません。
くれぐれも言っておきますが「『バカとつき合うな』は面白くない」という話ではありません。

「ターゲットをどこに絞っているか?」という話です。
『バカとつき合うな』は執筆前(厳密に言うとインタビュー前)に、編集のサイさんと、ライターの鮎川さんと何度も話し合って、堀江さんと僕がすでに押さえている層(+話題で買ってくれそうな層)をグラフ化して、そこをめがけて確実にヒットを狙いにいったので、釣り堀で釣りをしている感覚に近いです。

『新世界』は僕のオナニーで、新たなファン層を開拓してくれたのは『ほんやのポンチョ』だと思います。
新作を発表する時は事前にスタッフやサロンメンバーと「新作の目的」を共有しておいた方がいいかもしれません。
こんな感じです↓

①『バカとつき合うな』
【目的】とにかくヒットさせる。
②『新世界』
【目的】オナニーを見せて、「西野亮廣」という人に興味を持っていただく。
③『ほんやのポンチョ』
【目的】ファン層の新規開拓

①も②も③も重要なんだけど、どれか一つに偏ってはダメで、①と②と③を、バランスよく発表していくことが大切なのだと思います。
もちろん、①「ヒット」が、②「作者に興味を持ってもらう」や③「ファンの新規開拓」を兼ねている場合もあるのですが、必ずしもそうとは限りません。

たとえば、(以前もお話ししましたが)200万部を超えた『キミたちはどう生きるか』の作者の名前を言える人が、ほとんど存在しないように。

ヒットにかまけるな

大切なのは「ヒットのカラクリを知ること」で、いつでもヒットさせられる身体を手にいれたならば、①は2~3回に一度ぐらいにしておいて、覚悟をもって②や③に手を出していかなきゃいけないのだと思います。

ちなみに『えんとつ町のプペル』の後ということもあって、当初、『ほんやのポンチョ』の初版部数は「7万部」という話になっていましたが、『ほんやのポンチョ』は明らかに③の作品なので、初版部数を下げてもらいました。

作家が出版社に「初版部数を下げてください」とお願いするのは極めて希なケースだとは思いますが、「刷りすぎてしまった」となると、作家の信用に関わってくるので、そこは冷静に。

次回作の『チックタック ~約束の時計台~』は①と②の両方だし、例の大物アーティストさんとのコラボもあるので、初版10万部でもいいと思っています。

まとめ

・作品の結果を『数字』だけで見てはダメ
・その作品の『狙い』と『数字』の両方を見ましょう
・狙いが当たっている作家はスゲエ

以上、2018年12月17日(月)に西野亮廣エンタメ研究所で投稿された記事でした。

次回予告

絵本3.0。

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