バーベキュー型エンターテイメント

[1年前の西野亮廣エンタメ研究所の記事]

こんにちは、財前です。
今回も、西野亮廣さんが過去にサロン内で公開された記事を載せたいと思います。

オンラインサロン 投稿日2018年12月16日(日)

おはようございます。
マネージャーの須藤君から「西野さんお疲れ様です。吉本興業の方で予約をとってた『ほんやのポンチョ』のサイン本のことをすっかり忘れていました。本日、『ほんやのポンチョ』754冊にサインを入れていただけますか?」という爆弾をブチ込まれたキングコング西野です。754冊です。

さて。
今日は、『今、僕らがおかれている状況と、その向き合いかた』について、サロンメンバーの皆様と共有しておきたいです。

バーベキュー型エンターテイメント

プロが作ったモノを、お客様にお出しするモノを『高級レストラン型』として、
お客さんが、自身の食べたいものを作るモノを『バーベキュー型』としたならば、現代求められているのは、明らかに「バーベキュー型エンターテイメント」です。

『バーベキュー型』は、よく耳にする「インタラクティブ(参加型)」の更に進化系で、チームラボの作品を「インタラクティブ」とするのなら、チームラボの作品をお客さんが作っている状態が『バーベキュー型』ですね。
なんとなく、わかりますよね?

バーベキュー型エンターテイメントを生んだのは、まず間違いなくSNSで、「もっとも“ドヤれる”投稿は何か?」を突き詰めると、「昨日、サグラダファミリアを見に行った」よりも「昨日、サグラダファミリアを作った」になるわけですね。
「純度100%のお客さん」をやるよりも、「作品制作に参加したお客さん」の方が、お客さんとしての満足度が高いわけです。

ここまでお話しすると、「お金を払って働く」の説明がつくと思います。
(#さすがベストセラー作家)
面倒クセーので自分で言っちゃいますが、日本のエンタメ界だと「西野以前と西野以降」で大きく流れが変わって、僕より先輩に「お客さんがお金を払って働いています」と言うと、だいたい「搾取じゃん!」「宗教じゃん!」と返ってきます。

そういう時は、「たとえば、バーベキューは、お金を払って働いてませんか?」とお伝えすれば、「う、うん、でも、まぁ…」と失速していただけるのでオススメです。

そんなこんなで、今、僕らは『バーベキュー型エンターテイメント』の初日に立ち会っているわけですね。

『バーベキュー型エンターテイメント』の問題点

『バーベキュー型エンターテイメント』には、二つのパターンがあります。
それは、そこに参加している人の種類です。

【パターン①】
その空間にいる人=プロ+制作に参加するお客さん

【パターン②】
その空間にいる人=プロ+制作に参加するお客さん+純度100%のお客さん

パターン①の場合は、少々、肉を焦がしてしまっても、変なタイミングでヤキソバを投入しても問題ありません。
結局、食べるのは自分達なので、むしろ、多少のドジがエンタメとして機能します。
やっかいなのは、パターン②で、コチラには何の事情も知らない純度100%のお客さんが混じっているので、そこでのドジは面白がられません。

そして、パターン②で起こる事故のほとんどが、『内輪ノリ』です。
会議で自分達だけが盛り上がっちゃって、「純度100%のお客さん」の目線がゴッソリ抜け落ちて、結果、素人のオジサンが考案した謎の演出がブチ込まれたりします。もちろん、地獄です。

僕は、講演会を主催する権利をお渡しすることが少なくないのですが、以前、僕の講演前に「スタッフ(制作に参加しているお客さん)の誕生日のサプライズを、お客さんの前でやる」という大地獄演出が慣行されました。
もちろん、純粋に『西野亮廣講演会』を観に来た人からすると、「は? …これ、何を見させられてんの?」です。

そうなることぐらい考えたら分かりそうなものですが、イベント運営の当事者になると、どうやら、そこの他者目線が見事に抜け落ちてしまうそうなんです。
なので、バーベキュー型のエンターテイメントに携わる方は、「自分は盛り上がると他者目線が抜け落ちる人間だ」という前提で、エンタメに向き合われるといいかもしれません(*^^*)

それと、もう一つ!

素人イベントで、糞みたいなアイデアが採用されてしまう背景には、「スタッフ全員が、それを糞アイデアだと気づいていない」というのもあるかもしれませんが、一方で、「なんなか残念なアイデアだけど、でも、あのアイデアを出してくれた◯◯さんは今回メチャクチャ頑張ってくれたから、採用しとこう」という優しいリーダーの判断もあるかもしれません。

結論から言うと、それはリーダーの「優しさ」ではなくて、「逃げ」です。
頑張ってくれた◯◯さんのアイデアを切ってしまうと、自分がネガティブな印象を持たれてしまうから、それを避ける為に、糞アイデアを採用して、お客さんを殺すという最低な行為です。

『バーベキュー型エンターテイメント』のリーダーに立候補するのであれば、「断腸の思いで切り捨てなければならないこともある」ということは踏まえておかれた方がいいと思います。

『バーベキュー型エンターテイメント』は、「どこからどこまでを自分が担当するのか?」などなど、まだまだルールがフニャフニャです。
たくさん話し合って、そこから一緒に作っていきましょう(*^^*)

【追伸】
今日は14時45分から、なんばグランド花月(大阪)一階でプチサイン会がございます。
僕の書籍をご購入くださった方が対象です。
お時間あれば是非。

以上、2018年12月16日(日)に西野亮廣エンタメ研究所で投稿された記事でした。

次回予告

作品の結果を『数字』だけで見てはダメ。

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